ハーザー(オーストリア)が驚異の大逆転で世界選手権大回転の金メダル獲得!

地元オーストリア・サールバッハで開催された世界選手権の男子大回転で、ラファエル・ハーザーが劇的な逆転優勝を果たしました。オーストリアの選手がこの種目で世界王者になるのは、1989年のルディ・ニアーリッヒ以来34年ぶりの快挙です。19,500人の熱狂的な観客が見守る中、27歳のチロル出身のハーザーは、1本目の5位から大逆転し、金メダルを獲得しました。銀メダルはトーマス・トゥムラー(スイス、+0.23秒)、銅メダルはロイク・メイヤール(スイス、+0.51秒)が獲得し、優勝候補のマルコ・オーダーマット(スイス)は4位に終わりました。
期待されたSNOW JAPANの加藤聖五は序盤で途中棄権。若月隼太は2本合計でハザードから7.24秒の差がつき、35位に終わった。今回の大会で、15番以内を目指したが、残念ながらオリピック出場権獲得することはできなかった。二人は次のレースのために、すでに帰国の途についた。


写真左が若月隼太 (1本目)、写真右が加藤聖五(途中棄権直後)
予想外の大金星
今季、膝のケガで長期間欠場していたハーザーですが、ワールドカップで一度も優勝経験がなく、大回転では表彰台に立ったことすらありませんでした。しかし、2本目で驚異的な滑りを見せ、地元開催の世界選手権で大金星をあげました。これは、スーパーGでの銀メダルに続く、今大会2つ目のメダルとなります。

レース後、ハーザーは興奮気味に、
「信じられない! ワールドカップで一度も優勝したことがないのに、地元開催の世界選手権で、それも苦手意識のあった大回転で優勝するなんて。何を言ったらいいかわからないけど、本当に最高だ!」
スイス勢は惜しくも敗れる
前回の大回転で表彰台を独占したスイス勢でしたが、今回はハーザーの前に屈しました。とはいえ、トゥムラーとメイヤールは銀・銅メダルを獲得し、大きな成果を上げました。特にトゥムラーは、「ワールドカップ初優勝もすごかったけど、今日のレースが今季で最も重要なレースだった。表彰台に立てて本当にうれしい」とコメントしています。
レース途中まで首位だったノルウェーのティモン・ハウガンは、ミスが響き7位に後退。ハーザーは2人のノルウェー選手と2人のスイス選手を追い抜き、優勝を勝ち取りました。
マルコ・オーダーマットの苦悩
スイスのエース、オーダーマットは優勝候補筆頭でしたが、惜しくも4位に終わりました。「リスクを取って攻めたし、感触も良かった。でも、フラットセクションの前でミスをしてしまい、スピードが落ちた。これが決定的なミスとなってしまった。チーム戦を犠牲にしてまでこの種目に集中したけど、結果が出せずに悔しい」と語りました。

オーストリアの伝統を引き継ぐハーザー
今回の金メダル獲得により、ハーザーはトニー・ザイラー(1956・1958)、エゴン・ツィマーマン(1962)、カール・シュランツ(1970)、ルディ・ニアーリッヒ(1989・1991)、ヘルマン・マイヤー(2005)、マルセル・ヒルシャー(2017)に続き、大回転で世界王者となった7人目のオーストリア人となりました。また、オーストリア男子は9大会連続で大回転の表彰台に選手を送り込むという記録を更新しました。
地元ファンの声援を力に変えたハーザーの快挙は、オーストリア・スキー界の歴史に刻まれる大金星となりました。