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オーストリアのアルペンスキー世界選手権と日本のスキー経済の比較
ザールバッハ・ヒンターグレム(人口約2,900人)で開幕したアルペンスキー世界選手権。15万人以上の来場者が見込まれ、チケット販売やテレビ放映権料が収益の大部分を占めています。ワールドカップの予算だけでも約5,000万ユーロ(約800億円)とされ、さらに連邦政府、州政府、地方自治体がインフラ整備に約4,000万ユーロ(約640億円)を投資。特に、ワールドカップ後も続くプロジェクトへの投資が注目されています。
では、こうした国際的なスキー大会は、経済にどのような影響をもたらすのでしょうか?
オーストリアにおけるスキー経済の役割
オーストリアでは、アルペンスキー世界選手権はスポーツ面だけでなく、経済面でも極めて重要なイベントです。特にスポーツ用品業界、宿泊・飲食業界にとって大きな商機となります。業界協会(HV)の専務理事ライナー・ウィル氏によると、こうした大会をきっかけに冬季スポーツが活性化し、オーストリア国民のウィンタースポーツ用品への支出も増加。調査機関レプブリカの調査では、回答者の60%がワールドカップを現地またはテレビで観戦予定で、オーストリア代表が8個のメダルを獲得すると期待されています。これにより、ウィンタースポーツ愛好家は今年、スポーツ用品に平均約200ユーロ(約3万円)を投資すると見込まれています。スキーは依然として最も人気のある冬季スポーツ(29%)で、アイススケート(28%)をわずかに上回る結果となりました。
日本のスキー経済との比較
一方、日本においてスキー経済の規模は縮小傾向にあります。1990年代にはスキー人口が1,800万人を超えていましたが、近年は400万人前後にまで減少。特に若年層のスキー離れが進んでいます。オーストリアと比較すると、日本ではスキー大会の経済波及効果が限定的で、ワールドカップクラスのイベントが開催されても、大規模なインフラ投資にはつながりにくい現状があります。
また、オーストリアでは国を挙げたスキー教育が根付いており、子どもたちが学校行事でスキーに親しむ環境が整っていますが、日本ではスキー授業を行う学校は減少傾向にあります。そのため、冬季スポーツ市場の拡大には、大会の成功だけでなく、スキー文化の再興や若年層の育成が不可欠となるでしょう。
まとめ
オーストリアでは、アルペンスキー世界選手権が国内経済を活性化し、スポーツ用品市場を押し上げる重要な役割を果たしています。一方、日本ではスキー人口の減少が続いており、経済効果も限定的です。今後、日本のスキー産業が成長するには、大規模な国際大会の誘致だけでなく、国内のスキー文化を再興し、若い世代へのアプローチを強化することが鍵となるでしょう。